情報処理技術者試験は国家試験であり人気の試験だ。中でもITエンジニアの登竜門とされている基本情報技術者試験合格を目指す人も多い。
合格率は25.7%(令和元年)で、独学でも十分狙える試験である。しかし何も考えずに勉強して合格できる試験でもない。そこで独学で合格するために、おすすめの参考書、問題集を紹介したいと思う。
基本情報技術者試験合格のための参考書とは
基本情報技術者試験合格には、午後対策が重要
試験は午前問題と午後問題に分かれていて、合格にはどちらも合格基準点(通常6割)以上の得点が必要だ。普通に独学で勉強すれば、午前問題の合格基準点をクリアすることは難しくない。合否を決めるのは午後問題なのである。よって、午前問題はさっさと終わらせ、午後問題はじっくり勉強するという戦略が必要である。
データ構造及びアルゴリズム、ソフトウェア開発分野の勉強が重要
ほとんどの基本情報技術者試験の参考書は、試験全体の基礎的な事項を網羅する参考書(基本書)の位置付けである。よって基本書1冊読んでも午後問題の合格基準点を満足するのは難しい。
基本書では紙面の都合もあり、午後のデータ構造及びアルゴリズム分野は理解が難しく、また午後のソフトウェア開発分野の選択科目は記述がほとんどない基本書が多い。
よって、午前問題の参考書(基本書)、午後問題の参考書が必要となってくる。
合格は一発で射止める
と考える人も多いと思う。僕も初めの頃はそういうふうに考えて勉強して何度も落ち続けた。
しかし目標は受験することではなく、合格することである。何回も落ちて再勉強、再受験する方が、費用も時間もはるかに無駄なのである。
という体験談を見て、
という考えを持っているのなら、そのような考え方は捨てた方がよい。
一つの目的に対して、がむしゃらに貪欲に向かう姿勢が重要だと思う。手を抜いて合格するというより、高得点で合格するという意気込みで勉強した方が断然よい。
この試験は4人に1人しか合格しないのだから・・・
基本情報技術者試験おすすめの参考書
午前問題おすすめの参考書(基本書)
初学者は、最初に参考書で一通り勉強した後に、問題集をすることになる。
但し、先ほど熱く語った?通り、この基本書だけでは午後の問題を解くのは難しい。午前の問題はどちらかと言えば暗記問題であるが、午後問題は理解して解くということが必要だからだ。よって、別途午後問題対策が必要になってくる。そう考えると、午前問題は分かりやすく、時間をかけずにスラスラ読める教材がおすすめだ。
おすすめの参考書は下記の2つだ。どれも午前問題対策には十分な参考書だ。自分の好みで選べば良いと思う。
かんたん合格 基本情報技術者教科書 (インプレス)
初学者にもおすすめの参考書が、かんたん合格 基本情報技術者教科書(インプレス)だ。難しい用語もわかりやすい言葉で書かれていて、難しいところもイラスト、図、表などで理解しやすいように工夫されている。スラスラ読みやすく、挫折することなく最後まで学習できるのが良いと思う。1か月と言わず、1、2週間で読み終らせるのがポイントだ。
情報処理教科書 出るとこだけ! 基本情報技術者 テキスト&問題集 (翔泳社)
あまり回りくどい説明がイヤだという人は、情報処理教科書 出るとこだけ! 基本情報技術者 テキスト&問題集 (翔泳社)がおすすめである。
要点がスパッと書いてあり、また解説もわかりやすい。非常にコンパクトまとめられていて、また解説も丁寧だ。午後の試験に必要な基礎力がつくような構成が良い。令和元年度秋期試験の問題も掲載されている。理系出身、PCが得意という人には、こちらがおすすめだと思う。
午後問題おすすめの参考書
午後問題は、データ構造及びアルゴリズム、ソフトウェア開発の分野で配点が4割を占めている。しかし、この分野は1、2週間勉強すればできるというような分野ではない。
この分野を中心とする午後問題に多く時間をかけ、理解することが合格のポイントになってくる。
データ構造及びアルゴリズム分野の参考書
うかる! 基本情報技術者 [午後・アルゴリズム編] (日本経済新聞出版社)
午後の問題ではアルゴリズムは配点が高く、この分野の理解ができなければ、ソフトウェア開発分野の問題も解けない。午後問題の合否を分ける分野だといっても過言ではないと思う。
プログラム未経験者にとっては、アルゴリズムが難しく感じられる。この分野は決して生半可な知識では歯が立たない。
うかる! 基本情報技術者 [午後・アルゴリズム編] (日本経済新聞出版社)は、難しい内容をやさしく丁寧に解説していて、データがどのように処理されていくかわかりやすく記述されている。読みやすい対話形式になっていて、意外と簡単に読破できる。これを読めばアルゴリズム分野は理解が深まると思う。
ソフトウェア開発分野の参考書
基本情報技術者 表計算 とっておきの解法 (リックテレコム)
ソフトウェア開発分野は、C、Python、Java、アセンブラ言語、表計算ソフトのどれか1問を選択する。
得意なプログラム言語があれば、それを選択するのがおすすめだが、全く経験のない人は、表計算ソフトがおすすめだ。なぜなら残りはプログラム言語なので、初学者には難しいからだ。一方、表計算ソフトはエクセル等を使っている人には、理解しやすいと思う。
参考書としては、基本情報技術者 表計算 とっておきの解法 (リックテレコム)がおすすめ。
表計算ソフトではマクロの理解が重要である。この本はマクロの読み方、解き方が基礎から詳しく説明してあるので、マクロを苦手としている人におすすめの本である。これを読めば、解答の導き方が理解できると思う。
午後対策の参考書
基本情報技術者 午後試験対策 (アイテック)
午後の問題は、理解しないと解けない問題が多い。また素早く解答を導く練習をしないと試験本番では時間切れになってしまう。午後問題を苦手な受験生は多くいると思う。
午後の問題が苦手な人は、午後問題に特化した参考書、基本情報技術者 午後試験対策 (アイテック)がおすすめだ。
午後の問題に特化した本で、必須問題となった「情報セキュリティ」、「アルゴリズム」など詳しく解説してある。700ページもあるので相当な覚悟が必要だが、解説が丁寧で午前問題の知識を発展させながら解いていくので、午前対策の勉強にもつながる。
テーマごとに解説と演習問題があり、やればそれだけ実力がつくおすすめの本である。
おすすめの過去問
かんたん合格 基本情報技術者過去問題集 (インプレス)
試験では同じような類似問題が多く出題される。そのため、過去問は必要である。問題を解くことも重要だが、解説を読んでわからない問題が解けるようになることが一番重要である。よって過去問を選ぶポイントは、解説がわかりやすいか?十分な説明がされているか?が重要ポイントである。
過去問は、かんたん合格 基本情報技術者過去問題集 (インプレス)が良いと思う。この過去問は、導き方、解き方をていねいに解説してあり、また覚えるポイントも掲載されている。解説を読むだけでも、十分な効果があると思う。
令和2年春試験から、午後の選択問題にPythonが追加される。IPAが公開しているサンプル問題の解法についてていねいに解説してある。
また令和元年秋試験から、午前試験において数学に関する問題の出題が増えている。特集で数学問題の中でも出題率の高い項目に絞り、過去問を例に解説している。
参考書、問題集を使った勉強の仕方
参考書、問題集選びはバッチリでも、実際に勉強をしなければ実力はつかない。よって以下のことが重要である。
- 基本書は早く読み終えて、過去問を何回も繰り返して知識を定着させる。
- 午後問題の参考書は、確実に理解しながら読む。
- 過去問、問題集は解き方が重要であるので、解説をじっくり理解できるまで読む。
- 過去問、問題集は2度、3度と何回も解いて、わからないところは参考書で確認する。
試験勉強は全力を尽くす
勉強が順調に進めば、つい手を抜いて油断しがちである。しかし試験で合格と不合格は紙一重である。
獅子は兎を狩るのにも全力を尽くす
と言われている。
参考書、過去問、問題集を1回しただけで満足せず、何度も愚直に解いて合格を勝ち取って欲しい。
健闘祈ります。