宅建試験合格後に資格登録と取引士証交付の申請手続きした方が良い?

宅建士合格のその後宅建
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宅地建物取引士資格試験(宅建試験)に合格しただけでは、宅地建物取引士(宅建士)ではない。宅建士として業務に従事するなら、宅地建物取引士証(取引士証)の交付を受ける必要がある。

自己啓発で宅建試験に合格した人は、宅建士になる必要があるのだろうか?宅建士になるまでの手続き、費用、有効期限について考えてみたいと思う。

宅建士になる予定の有無にかかわらず、取引士証交付までの手続きは一度確認しておいた方が良い。

宅建士として仕事をする可能性もゼロではないからだ。

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試験合格後1年以内に取引士証交付申請する場合

試験合格後1年以内に取引士証交付申請するまでの費用、日数がどのぐらいになるのかシミュレーションしたいと思う。ただし、各手続き機関で費用、日数が異なるので目安だと考えて欲しい。

実務経験2年以上(登録実務講習不要の場合)

資格登録の要件である実務経験2年以上ある場合、試験合格後1年以内なら法定講習受講が免除されるので、取引士証交付申請するまでのフローは下記のようになる。

 

宅建士になるまで実務経験

 

資格登録と取引士証交付の手続きをするだけで良い。

必要日数は資格登録に必要な書類入手に2週間、資格登録に5週間、取引士証交付に2週間ぐらいだ。よって約2か月あれば取引士証が入手できる。

費用は、登録手数料37,000円と取引士証交付手数料4,500円で合計41,500円だ。その他証明書発行手数料、写真代等が掛かる。

宅地建物取引士資格登録

日数:一例)申請から登録通知(ハガキ)到着まで5週間
登録手数料:37,000円

宅地建物取引士証交付

日数:一例)申請から約2週間後に交付
取引士証交付手数料:4,500円

 

 

登録実務講習修了が必要な場合

資格登録の要件である実務経験が2年未満の場合は登録実務講習修了が必要である。試験合格後1年以内なら法定講習受講が免除されるので、取引士証交付申請するまでのフローは下記のようになる。

 

宅建士になるまで登録実務講習

 

 

登録実務講習は各自で申込む。通信講座で1か月学習後、スクーリング(連続の2日間)で学習を行う。その後の修了試験(スクーリング2日目)で合格すれば、資格登録要件を満たすことができる。

修了試験は60分程でテキスト等の持込み可能であり、合格率はほぼ100%である。

 

取引士証交付までの必要日数は、登録実務講習の修了証入手まで約2か月、資格登録に5週間、交付に2週間ぐらいだ。
また資格登録に必要な書類の入手は登録実務講習期間中に入手すれば良いので、約4か月で取引士証が入手できる。

登録実務講習は試験合格発表後直近の日程なら、すぐに定員オーバーになる可能性がある。よって希望する日程で講習が受けられず、講習終了までの日程が遅れることもある。

費用は、登録実務講習費20,000円(実際には実施機関で異なる)と登録手数料37,000円と取引士証交付手数料4,500円で合計61,500円だ。その他証明書発行手数料、写真代等が掛かる。

登録実務講習のスクーリング会場が遠くなら、交通費や宿泊費も掛かることを考えておくことが必要だ。

登録実務講習

日数:一例)約2か月
申込み日1か月後から通信教育(1か月)、スクーリング2日間、登録実務講習修了証はスクーリング最終日に発行

登録実務講習の費用:一例)20,000円(実施機関で異なる)

宅建登録実務講習ならLEC

宅地建物取引士資格登録

日数:一例)申請から登録通知(ハガキ)到着まで5週間
登録手数料:37,000円

宅地建物取引士証交付

日数:一例)申請から2週間後に交付
取引士証交付手数料:4,500円

 

資格登録申請と取引士証申請はした方が良い?

宅建業に従事する予定がなければ、必ずしも資格登録の必要はない。また登録を受けなくても、試験合格自体は無効にはならない。

資格登録や取引士証交付までは、それなりの費用と日数が掛かる。
では試験合格後どうしたら良いのだろうか?

宅建業従事者

当り前のことであるが、宅建業従事者は試験合格したら、取引士証交付を受けて宅建士になった方が良い。
また大抵の不動産会社では、宅建士になれば資格手当がもらえる。

宅建業従事者でない人

一番悩むのが、不動産会社で働いていない試験合格者の人だ。自己啓発で合格した人も多いと思う。

 

近い将来(例えば5年以内)不動産会社で働こうと考えている人は、取引士証の交付を受けて宅建士になっても良いのではないかと思う。

不動産会社に就職が決まってから、資格登録申請や取引士証交付申請をすれば良いと考えている人もいると思う。しかし中途入社で不動産会社に入る場合は即戦力が求められることが多い。

不動産会社では、従業員5人に1人以上の割合で宅建士の設置義務がある。宅建士ではない試験合格者を雇うと、この義務が厳しくなる会社もあるのだ。

逆に考えると、このような会社では喉から手が出る程、宅建士を雇いたいと思っているのではと思う。

 

宅建試験合格から宅建士になるまでの手続き

試験合格後1年以内に取引士証交付申請する場合については前述した通りだが、あらためて宅建試験合格から宅建士になるまでの手続きを説明したいと思う。

合格証書に同封されている「宅地建物取引士資格登録等の手続について」に記載されているで、よく確認して登録手続をすることが重要だ。

宅建試験合格に有効期限はない

宅建試験に合格して、宅建士になるのなら取引士証交付申請手続きをする必要がある。

しかし試験合格には有効期限がないので、試験合格後何も手続きをせずに、将来必要になったら取引士証交付申請手続きをするという選択肢もアリである。

宅建試験合格有効期限なし

宅建士になるまでのフローは下記のようになる。

試験合格から宅建士になるまで

宅地建物取引士資格登録

試験合格者は、宅地建物取引業法に掲げる一定の欠格要件に該当しなければ、受験した試験地の都道府県知事に対して登録を申請することができる。
一度登録すれば、登録の削除が行われない限り一生有効である。

 

宅地建物取引士資格登録 有効期限なし

資格登録に必要な要件

資格登録には2年以上の実務経験が必要だが、2年未満の場合でも登録実務講習を修了すれば、資格登録できる。

実務経験又は登録実務講習修了の有効期限が都道府県によって異なる場合がある。大抵の場合は、『実務経験が申請時から過去10年以内に2年以上』、『登録実務講習修了年月日から10年以内』である。
僕が知る限り、短くても10年のところがほとんどなので大丈夫だと思うが、心配な方は、

宅建士登録 (受験した都道府県)
検索

で検索して調べたり、試験合格地の都道府県宅建業法主管課に問合せておく必要がある。

都道府県宅地建物取引業法主管課一覧(一般財団法人 不動産適正取引推進機構ホームページへリンク)

実務経験2年以上

実務経験2年以上あれば、合格証書が到着すれば必要書類を提出すれば登録できる。

登録実務講習

登録実務講習は実務経験が2年に満たない宅建試験合格者が、講習を修了すると「2年以上の実務経験を有する者と同等以上の能力を有する者」と認められ、資格登録要件を満たすことができるものだ。

受講希望者は、自分で好きな登録実務講習実施機関に申し込むことになる。

実務講習は、宅地建物取引業法施行規則(第13条の21第4号)で決まっているので、どこの登録実務講習実施機関でもほぼ同じ内容である。

講習内容は、

  • 通信講座(1か月)
  • スクーリング(連続の2日間)
  • 修了試験(スクーリングの2日目)

である。

修了試験は60分程でテキスト等が持込み可能である。
合格率はほぼ100%である。

登録実務講習実施機関一覧(国土交通省ホームページへリンク)

登録実務講習の費用は、実施機関で異なるが2万円前後である。
登録実務講習は、費用、スクーリング会場、スクーリング日程、修了書受取日等を考慮して決定することが大切である。

講習受付は先着順で定員になり次第、締め切りとなる。登録実務講習の受講を考えている人は、合格証書が届いたら早めに申込むのが良いと思う。

 

資格登録申請に必要な書類等

資格登録は、都道府県の登録窓口で行うことになる。

資格登録が完了すれば、登録通知(ハガキ)が送付されてくる。

尚、都道府県の登録窓口の中には、法定講習免除の場合に同時に宅地建物取引士証の交付申請ができるところもある。


必要な書類等(都道府県によって若干異なる)

登録申請書(記名・押印)
誓約書(記名・押印)
身分証明書(本籍地の市区町村の発行)
登記されていないことの証明書(法務局が発行)
住民票(申請者本人のみ記載。本籍・続柄記載不要)
合格証書(原本(提示用)とコピー(提出用))
顔写真(1枚)(縦3cm×横2.4cmのカラー写真)
登録資格を証する書面(実務経験証明書、登録実務講習修了証等)
登録手数料(37,000円)
印鑑(シャチハタ不可)
従業員証明書(宅建業者に勤務し、宅建業に従事している場合のみ)
未成年者営業許可書(未成年の場合のみ)
戸籍謄本(未成年の場合のみ)

 

登録手数料は都道府県によって、現金、収入証紙、領収証紙など納める方法が違うので注意が必要だ。

聞きなれないのが、『身分証明証』と『登記されていないことの証明書』である。

身分証明証の入手方法

身分証明証は、運転免許証やパスポートなどのことを指すのではないので注意が必要だ。

ここでいう身分証明書は本籍地の市区町村長が発行する『成年被後見人及び被保佐人とみなされる者でないこと』及び『破産者で復権を得ない者でないこと』旨の記載があるものである。身分証明書は郵送でも請求できるので意外と簡単にできる。

登記されていないことの証明書の入手方法

登記されていないことの証明書も、聞きなれないので悩む方も多いと思うが、これは法務局、地方法務局窓口で手続きをする。
また東京法務局なら郵送で請求も可能である。

登記されていないことの証明書の説明及び請求方法(東京法務局ホームページリンク)

 

宅地建物取引士証交付

資格登録が完了すれば、登録している都道府県知事に対し、宅地建物取引士証(取引士証)の交付を申請することができる。

取引士証の有効期限は5年である。

取引士証有効期限5年

取引士証交付に必要な要件

取引士証交付の際、都道府県知事が指定する法定講習を受講する必要がある。ただし、試験に合格した日から1年以内の場合は法定講習が免除される。

法定講習不要(試験合格日から1年以内)の場合

登録通知(ハガキ)が来れば、合格日から1年以内に交付機関に申請する必要がある。

 

申請する機関は、各都道府県で異なるので、

取引士証交付 (登録した都道府県)
検索

で検索して調べて欲しい。

必要な書類等(交付機関によって若干異なる)
交付申請書
顔写真(2枚*)(縦3cm×横2.4cmのカラー写真)
取引士証交付申請手数料4,500円
印鑑(シャチハタ不可)
登録通知(ハガキ)

*顔写真3枚の申請機関もある
手数料は申請機関によって、現金、収入証紙など納める方法が違うので注意が必要である。

 

法定講習必要(試験合格日から1年超)の場合

試験合格から1年を超えていれば、都道府県知事が指定する法定講習を受講する必要がある。
指定されている法定講習機関は、各都道府県で異なるので、

宅建士法定講習 (登録した都道府県)
検索

で検索して調べて欲しい。

受付は先着順で定員になり次第、締め切りとなる。

法定講習機関のほとんどは、法定講習と同時に取引士証の交付申請ができる。

必要な書類等(法定講習機関によって異なる)
交付申請書
顔写真(3枚*)(縦3cm×横2.4cmのカラー写真)
手数料 16,500円 (受講料12,000円+取引士証交付手数料4,500円)
印鑑(シャチハタ不可)
登録通知(ハガキ)

*顔写真4枚の申請機関もある

 

宅建試験合格後には、登録実務講習、資格登録、法定講習、取引士証交付と各種手続きがあるが、実施機関で手続きの仕方が異なる。
必要書類を確認して、手続きが二度手間にならないよう注意が必要だ。

 

 

宅建試験に合格しても、取引士証の交付を受けていなければ宅建士ではない。
試験に合格していたら、手続きに日数と費用が掛かるが、将来的に宅建士になれる一歩手前に位置していることになる。

試験合格は資格登録と取引士証交付の申請時期を見誤らなければ、万が一のとき、大いに役に立つと僕は思っている。

宅建
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