宅建試験合格を目指して勉強している人は多くいる。
宅地建物取引士(宅建士)になるためには、宅建業法で定める宅建試験に合格する必要がある。令和元年度の合格率が17.0%である。
試験日は年1回(10月第3日曜日)だけである。
貴重な時間をこの試験勉強に費やすことになるので、試験は一発で受かった方が良い。
宅建試験合格を目指すための勉強法について考えてみようと思う。
宅建試験の概要
宅建試験の勉強法を考える上で重要なのが、試験概要を把握することが重要である。
試験科目
宅建試験は、全部で50問出題される。
試験科目は、
- 宅建業法・・・ 約20問
- 権利関係・・・ 約14問
- 法令上の制限・・・約8問
- 税その他・・・ 約8問
である。
試験方法
50問・四肢択一式による筆記試験でマークシート方式
試験時間
13:00~15:00の2時間
宅建試験の合格基準点、合格率
合格基準点は毎年変動し、31~37点である。平成30年度は合格基準点が37点で過去最高となった。
平成19年度~令和元年度の合格率は15~18%である。
過去の試験概況
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 | 合格基準点 (50点満点) |
令和元年度 | 220,797 | 37,481 | 17.0% | 35点 |
平成30年度 | 213,993 | 33,360 | 15.6% | 37点 |
平成29年度 | 209,354 | 32,644 | 15.6% | 35点 |
平成28年度 | 198,463 | 30,589 | 15.4% | 35点 |
平成27年度 | 194,926 | 30,028 | 15.4% | 31点 |
平成26年度 | 192,029 | 33,670 | 17.5% | 32点 |
平成25年度 | 186,304 | 28,470 | 15.3% | 33点 |
平成24年度 | 191,169 | 32,000 | 16.7% | 33点 |
平成23年度 | 188,572 | 30,391 | 16.1% | 36点 |
平成22年度 | 186,542 | 28,311 | 15.2% | 36点 |
平成21年度 | 195,515 | 34,918 | 17.9% | 33点 |
平成20年度 | 209,415 | 33,946 | 16.2% | 33点 |
平成19年度 | 209,684 | 36,203 | 17.3% | 35点 |
宅建試験の勉強法
合格基準点は毎年変動しているが、目標としては36点以上を狙って勉強したいところである。
宅建業法と権利関係だけで約34点を占めるので、この2つは得意科目にしておかなければ合格は厳しい。
各科目の勉強法
宅建業法
宅建業法は試験の科目の中で一番出題数が多く約20問出題されるため、この科目を一番の得意科目にすれば、点数を大きく稼ぐことができる。
この宅建業法を勉強すれば、宅建試験の概要、宅建士の仕事内容などの理解が深まるだろう。
宅建業法の内容は理解しやすく、コツコツ勉強すればその分得点を稼ぐことができるのが特徴である。
内容はやさしいが、正確に覚えないと点数に結びつかないため、理解力と暗記力が問われる科目である。
試験直前にも暗記した内容を復習し、確実に点数を稼ぎたい科目である。
権利関係
権利関係は14問程出題され、内訳は、
民法・・・ 約10問
借地借家法・・・ 約2問
区分所有法・・・ 約1問
不動産登記法・・・約1問
である。
点数を稼ぐためには、権利関係の中でも出題数の多い民法に多くの時間をかけて勉強する必要がある。
試験問題では、登場人物がA、Bの二人だけ登場する選択肢なら単純だが、中にはC、D、Eと多数の人物が登場する選択肢もある。
問題文だけでは複雑になるので、登場人物、土地、建物等の関係を簡潔に図、記号に書き直して問題の中身を正確に理解する練習が必要になってくる。
一見問題文を見ると難しそうに感じるが、条文の目的を理解していれば正解が導ける問題が多いのが特徴だ。
民法は暗記というより理解が必要な科目である。
自分が当事者になったつもりで勉強すると、より身近に感じて理解が深まると思う。
借地借家法、区分所有法、不動産登記法は過去問を中心に効率良く勉強すれば良いだろう。
法令上の制限
法令上の制限は、8問程度出題され、
農地法
都市計画法
建築基準法
宅地造成等規制法
土地区画整理法
国土利用計画法
などから出題される。
数字等の細かいところが問われることもあるので、過去問で出た箇所は正確におさえておくことが必要だ。
税その他
税その他からは、8問程度で、最近では
税法・・・ 2問
住宅金融支援機構・・・ 1問
不当景品類及び不当表示防止法・・・1問
統計・・・ 1問
不動産鑑定評価、地価公示法・・・ 1問
土地の一般知識・・・ 1問
建物の一般知識・・・ 1問
でどちらかといえば、暗記力勝負の科目だ。
税法が2問出題されるので、他の分野より少し力を入れて勉強した方が良い。
統計では建築着工統計(1月頃発表)、地価公示(3月頃発表)、土地白書(5月頃発表)などが、毎回出題されている。
新しい統計情報を覚えておけば、1点獲得できる可能性が高いので、必ず目を通しておく必要がある。
範囲が広いが、覚えていれば簡単に解ける問題がほとんどである。
過去問で出ているところを中心に浅く広く勉強するのが良いと思う。
宅建試験の合格基準点を超えるには
宅建試験の問題50問の内、宅建業法20問と民法10問を中心に勉強しても合計で30問であり到底合格ラインには到達できない。
1、2問程度しか出ない各種法令が合わせて20問もあるのだ。
つい1、2問しか出題されないからと油断して勉強の手を抜いてしまうと、合格基準点まで点数を積み重ねるのは厳しい。宅建試験は宅建士になるための資格試験であるため、法令から重要な項目を厳選して出題される。よって一つの法令から1、2問の問題に絞って出題する場合、過去に出題された項目が再度出題されることが多い。
と思っている人は、一般財団法人 不動産適正取引推進機構ホームページに試験の過去問題が掲載されているので確認してみればわかると思う。
初学者なら過去数年間の試験問題に遡って問49、50を見比べてみるとわかりやすい。
問49は土地の特徴と安全性について問われているし、問50は建物の構造についての特徴が問われていることが多い。
初めから民法、宅建業法以外の勉強をおろそかにするのは非常にもったいない。
これらの科目の試験問題で問われる内容は、難しいものではないので、過去問題を中心に勉強することで、効率良く試験の点数を積み重ねることができるのだ。
試験勉強スケジュール
宅建試験に合格するまでの勉強時間は200~300時間と言われている。試験日は10月第3日曜日である。勉強時間として250時間確保しようと考えると、1日2時間勉強するなら6月から試験勉強を開始する必要がある。
社会人なら1日2時間、毎日勉強時間を4か月間確保するのは現実的に厳しいかもしれない。
また初学者ならもっと時間が必要になる。
できれば、余裕を持って春先頃から早めにスタートしたいところだ。
参考書、問題集
参考書と過去問を中心に勉強
勉強方法としては、参考書を読み、過去問を解くという繰り返しの勉強方法で良い。
しかし使う過去問に注意が必要だ。
過去問は2種類の切り口の過去問が出版されているのだ。
一つは試験年度別に編集されている過去問で、もう一つはテーマ別に編集し直した過去問である。
試験年度別過去問
メリット:年度別の試験を本番さながらに再現できているので、自分がどのぐらいの試験合否レベルがわかる。
デメリット:勉強を始めたばかりでは、過去問題1回分の全分野を解くことは難しい。
試験年度別過去問は、アウトプット確認用としての利用がおすすめ
テーマ別過去問
メリット:参考書の各テーマが終わったら、すぐに問題集で確認ができる。また間違った問題は、すぐに参考書で確認ができる。
デメリット:各テーマの問題を解くので、自分の試験合否レベルがどのくらいかつかめない
テーマ別過去問は、インプット確認用としての利用がおすすめ
僕は、アウトプット確認用としては予想問題(予想模試)に譲り、テーマ別過去問で参考書と組合せてインプット確認用として利用する方が効果があると思う。

参考書と過去問の繰返し勉強が重要
参考書と過去問の繰返し勉強が重要である。
参考書 ⇒ 過去問 ⇒ 参考書 ⇒ 過去問 ⇒ ・・・
という方法だ。これを何周も行うのだ。
参考書と過去問の一周目の勉強では、内容がほとんど理解できないが、過去問は問題を読み、解答解説を読んで、選択肢のどこの部分が間違えているのか意識しておくだけで良い。
二週目の勉強では参考書を読むときに、過去問を意識するのでより頭に入ると思う。その後、過去問を解くと、前回より過去問が解けるようになっていることに気が付くだろう。
何周も参考書と過去問のセット勉強を繰返すと、参考書を読み終える時間が早くなり、過去問でもどの辺りを論点にした問題なのか理解できるようになる。
最初のうちは勉強を一周するのに時間がかかり、冒頭に勉強したことはほぼ忘れていると思うが、繰り返し勉強しているうちに、1周する勉強時間が短くなるので、宅建試験全体が記憶に定着し、どの分野の問題も解けるようになってくるのだ。
ある程度過去問が解けるようになったら、過去問を中心にして解き間違えた部分だけ参考書で確認するようにして、過去問題は全問正解できるようにすることが大切だ。
試験日までに法改正、統計情報の対策が必要
試験問題は毎年4月1日現在施行されている法令で実施される。また試験では統計情報は毎年出題されている。
使用している参考書と過去問だけでは、対応できない箇所もある。試験年度の7月頃までには法改正、統計情報に対応した本や予想模試が出版されるので、入手して対策しておくことが必要である。
特に予想模試は試験当日と同じような問題構成になっているので、解きながら時間配分等を確認した方が良いと思う。
試験での健闘を祈ります。