名ばかりの成果主義では生き残れない、自己啓発で自分を磨け

自己啓発
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日本的経営の特徴である「年功序列」、「終身雇用」といった会社の人事制度は、1990年代後半からいつの間にか「成果主義」に移行していった。
実績や成果を出した社員の給料、ボーナス、昇進、退職金等を優遇するという制度だ。

僕は、当初この成果主義の方が断然良いと思った。なぜなら若者がどんなに仕事を頑張って成果を出しても、新聞、雑誌を読みふけるために出勤してくる年配者の方の給料が高いのは不公平だと思ったからだ。
勤続年数、経験が長い人程、一般的に会社で大きな成果を出している。
だからこういう成果を出している人の給料が高いのは反対しない。
でも若い人でも成果を出せば、給料が多くもらえるチャンスがある方が、仕事のモチベーションが上がると思ったからだ。

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目標管理制度の現実

目標管理制度とは

成果主義のツール(道具)として、大半の会社では「目標管理制度」なるものが導入された。

目標管理制度は、半期(半年)ごとに社員一人ひとりがどんな仕事して、どんな目標を目指すのか上司と調整して決定する。なぜ、半期ごとかといえば、会社のボーナスの支給は半期ごとで、このボーナス支給額にもこの制度と連動させるためである。

半期ごとに立てる目標は一人3つ程で、例えば営業なら売上げ10%アップ、新規顧客10件獲得、顧客クレーム件数30%削減などだ。
そして半年後、自分の目標に対する結果を上司に報告する。それにより半年間の業績が評価されるというものだ。

個々の会社員が目標を達成したら、個人の給料が上がり昇進できるという制度なら、みんな仕事に一生懸命打ち込む。また会社も目標を達成し、会社に貢献した人にそれなりの処遇をするのだから、典型的なWin-Winの関係をもたらす良い制度だ。

目標管理制度で士気は低下し、業績が低迷

この優れた成果主義ツールと思われた目標管理制度を導入した企業は、こぞって業績が低迷し、社員の士気も低下している。
理由は意外と初歩的なことだった。

会社の目標と個人の目標がバラバラ

会社は社員のチームプレーで利益を生み、社員でその利益を享受する。ところが目標管理制度は個々に目標を決めて、個人個人がその目標を目指す。その目標が会社の目標、方針と一致しているか?正しいか?など上司も判断できない。
なぜなら、あまりにも目標が細分化されすぎていて、その個々の目標を組み立てたものが、会社の目標と一致するかなど誰も想像することなど不可能だからだ。

当たり前のことだが、会社は社員で協力して利益を生み出す。一人の力で利益を上げられるのなら、わざわざ組織化した会社で働く必要がない。

個々に目標を掲げて遂行しても、目標に向かって走り出す方向が違うのだから、会社全体としては会社の目標に向かって前進しているどころか、空回りや後退している会社がほとんどだ。

目標以外の仕事は一切やらない

決めた目標のみ評価される。言い換えれば目標に掲げていないことは一切評価されない。だから、会社を左右するような重要な案件が急に発生しても、誰も目標に掲げていないことは見向きもしない。

意味のない目標を掲げてしまう

半年で評価が決まるということは、半年で結果が出せないような大きな目標は誰も掲げない。半年でのみ結果できるような目標を誰もが掲げてしまう。
それどころか、達成できる目標を立てることに専念してしまい、会社の目標など二の次になってしまった。

正当に評価がされない

目標を達成しても、会社として利益が上がらなければ給料が上げられない。
よって、実際は会社の都合でその給料枠に収まるように業績考課の調整が行われる。

評価は上司が行うが、部下全員の仕事の内容、仕事ぶりをいちいち把握、管理できないのが実情である。よって実際には部下の好き嫌いの感情で左右される。上司の感情で給料、ボーナス、昇進、退職金の全てが決定されてしまう。

このような問題のある人事考課は会社のモラル低下につながるので、人事部は常に適性に人事考課が運用されているか目を光らせなければならないが、人事部も自ら導入した制度が適切に運用できているか確認する術を持っていない。

 

目標管理制度が成果主義を形骸化させる

このような目標管理制度が導入されることにより、会社員の仕事ぶりは大きく変化した。
自分の給料を上げるためには、簡単な目標を掲げるようになる。

業績考課が近づくと重要な仕事をそっちのけでの上司に業績PRをすることにのみ時間を費やす。

上司の感情で特定に人だけの人事考課が優遇されたり、冷遇されたりすれば、どんなにがんばっても評価は変わらないので、社員のモラルが低下してくる。

評価は相対制度のため、誰かの評価が上がれば、誰かの評価は下がる。そのため同僚、部下の仕事を協力して仕事をすることがなくなる。

結局、目標管理制度を導入した企業は業績が低迷し、社員の士気も低下している。そうなると会社の経営が傾くのは当然だ。

 

会社の人事評価に影響されず、自己啓発で自分を磨く

どんなに頑張って業績を上げても適性に評価されない人は、会社の中で腐ってしまいやすい。

しかし、数年に1回のチャンスは巡ってくるものだ。会社で腐っていては、自分の能力を発揮するチャンスが巡っても、能力は錆びついているのでチャンスは生かせないだろう。

 

自己啓発でチャンスに備えろ

会社員は否が応でも人事考課の冷遇に合うこともある。しかし、それに不平不満を言っても決して自分のためにならない。

ここで腐ってしまえば、やはりあいつは能力がなかったと烙印が押されるだけだ。

人事考課で冷遇されていたら、はらわたが煮えくり返るが、しかし今まで通り仕事に打ち込む必要がある。それは、会社のためというより、自分に能力を腐らせないためにだ。

ただ会社で仕事に励むだけでは、単なる自己満足に陥ってしまう可能性がある。今の自分に不足している能力を冷静に分析し、自己啓発を行うことが必要である。自己啓発を行えば、会社都合による評価に左右されない、本当の能力を備えることができる。

どんなに苦しい状況でも、自己啓発というウォーミングアップを怠らず続けていれば、自分の能力を発揮する場面に遭遇した時、ブランクを感じさせない最高のパフォーマンス得られると思う。