受給資格期間10年に短縮、老齢年金を諦めてた人に朗報

老後の生活お金
この記事は約7分で読めます。

僕は社会保険労務士の資格試験に何度もチャレンジした。

理由は明白、落ち続けたから(-_-;)
でもどうしても諦めきれずに、何年間も勉強し続けた。

特に難しかった科目が、国民年金と厚生年金保険である。老齢年金に関する部分は法改正、特例などがたくさんあって一筋縄ではいかなかった。

老齢年金は老後に支給される年金で、老齢基礎年金と老齢厚生年金がある。
国民共通に支給されるのが老齢基礎年金である。第2号被保険者期間が1月以上ある人は老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金も支給される。

今でも覚えているのは、受給資格期間25年に満たない人は、いくら保険料を納付していても、老齢年金はもらえないということである。

でも、平成29年8月1日より年金の受給資格期間が25年から10年に短縮された。

これだから、社会保険労務士の資格試験は難しい。

老齢年金の受給資格期間の短縮は、老後生活を必ず迎える僕らにとってありがたい。しかし、注意点もあるので、老齢年金について考えてみようと思う。

スポンサーリンク

受給資格期間10年以上で老齢年金がもらえる

老齢年金は、たとえ保険料を納付していても受給資格期間が10年未満だと、ビタ1文(古い表現だが・・・)もらえない。お金をドブに捨てることになる。(これも古い表現だが・・・)

この資格期間は1月単位で計算するので、正確には12月×10年=120月以上なら、老齢年金がもらえることになる。

だから受給資格期間とは何なのか理解しておく必要がある。

受給資格期間は、保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間(カラ期間)の3つを足したものだ。これが120月以上あれば老齢年金の受給資格があることになる。

保険料納付済期間

文字通り、保険料を納付して期間だ。つまり下記の期間を合計したものだ。

旧国民年金(昭和36年4月~昭和61年3月)時代

被保険者で保険料を納付した期間
任意加入で保険料を納付した期間
厚生年金被保険者期間のうち、20歳以上60歳未満の期間

基礎年金導入以後(昭和61年4月~)

国民年金の第1号被保険者期間で保険料を納付した期間
(追納及び後納によって保険料を納付した期間含む)
任意加入で保険料を納付した期間
国民年金の第2号被保険者期間(厚生年金の被保険者期間)のうち、20歳以上60歳未満の期間国民年金の第3号被保険者期間

 

保険料免除期間

国民年金の第1号被保険者としての加入期間のうち、保険料を納めることを免除された期間。法定免除と、本人の申請による申請免除がある。

尚、申請免除は多段階免除制度で、全額免除、4分の1納付、半額納付、4分の3納付の四種類がある。

 

合算対象期間(カラ期間)

任意加入しなかった期間や、年金に加入できなかった期間に対する特例だ。しかしこの合算対象期間は受給資格期間の有無を判断する時のみの考えで、年金額の計算には反映されないのでカラ期間と呼ぶこともある。僕にはこの呼び方の方がわかりやすい。

旧国民年金(昭和36年4月~昭和61年3月)時代

任意加入できたのに任意加入しなかった期間
国民年金に任意加入したが保険料が未納となっている期間

基礎年金導入以後(昭和61年4月~)

日本人であって海外に居住していた期間のうち国民年金に任意加入しなかった期間
第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳未満の期間又は60歳以上の期間

 

国民年金の変遷により、合算対象期間は他にも色々あるので受給資格期間が10年以上あるかどうか不明な人は日本年金機構のホームページで確認した方が良い。

 

 

老齢基礎年金支給額

老齢年金額

国民年金がスタートした昭和36年4月以降に20歳になった人(昭和16年4月2日以降に生まれた人)の老齢基礎年金の支給額は下記の通りの式になる。

尚、年金は、年6回に分けて払われ、支払月は、2月、4月、6月、8月、10月、12月となる。

779,300(平成29年度) ×

( (保険料納付済月数)+(全額免除月数×4/8)+(4分の1納付月数×5/8)+(半額納付月数×6/8)+(4分の3納付月数×7/8) )

÷ 480(12月×40年)

*平成21年3月分までは、全額免除は6分の2、4分の1納付は6分の3、半額納付は6分の4、4分の3納付は6分の5で計算される。

式を見ればわかる通り、保険料に関係するのは保険料納付済月数と保険料免除(全額免除、4分の1納付、半額納付、4分の3納付の四種類がある)月数だ。779,300の部分は平成29年度の場合で、毎年度額が変動する。

480は40年を月数に換算したもので、20歳~60歳まで40年間(480月)全て保険料納付済期間なら満額の779,300円が1年間に支給される額になる。

免除期間も年金額に反映されるが、保険料納付済期間と比べて年金額は少なくなる。

老齢厚生年金の支給要件も緩和される

老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間が1月以上あり、老齢基礎年金の支給要件を満たせば支給される。よって受給資格期間が10年を満たせれば老齢基礎年金に上乗せして所定の老齢厚生年金が支給されることになる。

受給資格期間が短縮しても年金額は少ない

受給資格期間が10年に短縮されたことにより、今まで老齢年金支給を諦めていた人には朗報である。

しかし、受給資格期間はあくまでも支給されるかどうか判断されるだけで、実際に支給される年金額は少ないのだ。よって受給資格期間が10年(120月)の人は、老齢基礎年金は最高(納付済期間10年)でも、年間194,825円にしか受け取れないことになる。

よって、この年金をいかに増やすか?考える必要がある。

老齢基礎年金額を増加させるためには

老後の生活

老齢基礎年金額を増加させるには、後納制度、追納制度で過去の保険料を納付する方法と60歳以降も任意加入制度を利用して保険料を納付する方法がある。つまり保険料納付済期間を480月に近づけて満額に近い額を目指すのだ。

まずは、1月分の保険料を納付すると、どれだけ年金額が反映されるかおおよその計算してみる。

保険料は、月額16,490円(平成29年度)だ。

1月保険料を納付すると、

779,300円(平成29年度の年金額)×1/480=1,624円

が1年間で増額する。

単純計算すると、10年ちょっと老齢基礎年金を受け取れば元は取れる計算になる。

65歳から年金を受取ると考えると、日本人に平均寿命が80歳を超えていることを考えれば、多分元は取れると思う。

保険料未納分を納付する後納制度

保険料の納付期限は、「納付対象月の翌月末日」となっている。また本来、国民年金保険料は2年を経過すると時効により納付できなくなる。言い換えれば、過去の2年間は遡って納付できる。

しかし、それ以上は遡っては納付できない。

ただし、平成27年10月から平成30年9月までの3年間に限り、過去5年分まで納めることができるのが後納制度だ。
また後納すれば保険料納付済期間として計算されるので、受給資格期間10年に満たない人はこの制度を利用して老齢年金の受給資格を得ることが可能だ。

保険料免除や猶予の承認を受けた期間の保険料を納付する追納制度

免除期間は年金額の計算には算入されるが、通常より年金額が低くなる。また猶予期間は年金額の計算には算入されない。そこで、過去10年以内であれば免除された保険料、猶予された保険料を遡って納めることができるのが追納制度だ。

60歳以降も保険料を納付する任意加入制度

厚生年金・共済組合等に加入していないときは、60歳以降(申出された月以降)でも任意加入することが可能である。これにより、年金額を増やしたい人は65歳までの間は任意加入して保険料を納付することができる。

ちなみに、外国に居住する20歳以上65歳未満の日本人でも任意加入制度は利用できる。

 

特例による任意加入被保険者
老齢基礎年金の受給資格期間が満たせない昭和40年4月1日以前に生まれた人は、社会保険庁長官に申し出ることで70歳まで任意加入被保険者になることができる。但し、特例なので受給期間が発生したら被保険者資格を喪失する。

 

老齢年金制度を利用して老後生活に備える

老後を考える

受給資格期間が短縮すると、今までもらえなかった老齢年金がもらえるのでありがたい。しかし、受給資格期間が短い人は、受給できる年金額が少ない。よって老後生活は厳しく老齢年金だけでは生活できない。

そのため老齢年金の受給額アップとして、後納、追納制度で保険料を納付するか、任意加入制度を利用して60歳以降も保険料を払うことを検討することが必要となる。

今の生活が苦しい人は後納、追納制度は利用せずに、現在の保険料納付を優先し、生活が楽になった時に利用するのがお勧めだと思う。また任意加入制度で60歳以降も保険料を納付することも検討するのが良いと思う。

付加年金の利用も検討

また、老齢年金の受取額を増やすために付加年金も検討するのが良いと思う。

付加年金はお手軽でお得な制度だ。

老後にお得な付加年金とは
付加年金とは老齢基礎年金をもらう時に、さらに金額を上乗せしてもらえる制度だ。付加保険料として納付した総額の半分が、毎年生きている限り永遠にもらえるのである。老後生活が長くなるほど、この付加年金の有難みが増してくるのだ。

日本人の平均寿命は簡易生命表によると、2015年で男性が80.79歳 、女性が87.05歳である。

老齢年金は、生きている限りもらえる。

豊かな老後生活を過ごすには、年金額を少しでも多く受け取れるように年金制度を利用することが大切である。

お金
スポンサーリンク
自己啓発で切り拓く