資格試験の勉強をしていると、日常生活でも役立つことがある。
サラリーマンになった時から、雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料などを給料から天引きされているが、どうしてこのような金額が決まって、何のために徴収されているのかわからなかった。
社会保険労務士の勉強をしてから、雇用保険、健康保険、国民年金、厚生年金など労働保険、社会保険の概要がわかってきた。
その時、会社を退職したら付加年金の制度は利用した方が絶対に得だと思った。
付加年金はなぜ得なのか
付加年金とは老齢基礎年金をもらう時に、さらに金額を上乗せしてもらえる制度だ。
毎月、国民年金の定額保険料(平成29年度:月額16,490円)と一緒に付加保険料400円を払うだけで良い。非常にお手軽だ。
老齢基礎年金をもらう時に、付加年金として「200円×付加保険料納付月数」の額が上乗せされる。
つまり今まで付加保険料として納付した総額の半分が、毎年生きている限り永遠にもらえるのである。
老後生活が長くなるほど、この付加年金の有難みが増してくるのだ。
付加保険料の月額
たった400円である。
国民年金の定額保険料(平成29年度:月額16,490円)に400円をプラスして納めることになる。
付加保険料を納付できる人
付加保険料を納めれば、国民老齢年金に上乗せされてもらえる付加年金であるが、付加保険料を納めることができる人は下記の人のみである。
・国民年金第1号被保険者
・任意加入被保険者(65歳以上の方を除く)
国民年金第1号被保険者とは
国民年金には、第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者の3種類がある。会社員や公務員、またその人に扶養されている配偶者は、第1号被保険者ではない。
日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者、農業・漁業者、学生および無職の人
厚生年金保険や共済組合等に加入している会社員や公務員(但し、65歳以上の老齢基礎年金などを受取れる権利を持つ人を除く)
第2号被保険者に扶養されている配偶者で20歳以上60歳未満の人(但し、年間収入が130万円以上で健康保険の扶養となれない人は第1号被保険者となるので除く)
任意加入被保険者
60歳までに老齢基礎年金の受給資格期間(25年)を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合の人のための任意加入制度だ。また外国に居住する日本人も任意加入被保険者となることができる。
任意加入被保険者の人は65歳までなら付加保険料を納付できる。
会社員の人でも将来利用する可能性がある
付加保険料はサラリーマン、公務員の人は利用することはできない。
しかし、今利用できないだけであって将来退職した場合などは、国民年金第1号被保険者、又は任意加入被保険者(65歳以上の方を除く)として利用できる。
付加保険料を納付できない人
国民年金基金に加入している人は付加保険料を納付できない
国民年金基金は付加年金と同じく、老齢基礎年金に上乗せして支給されるもので、両方の制度を利用することはできない。
付加年金は、手軽な保険料で受取金額がわかりやすいのがメリットと言える。
国民年金を払っていない人は付加保険料を納付できない
付加保険料は、国民年金の定額保険料と一緒に払うことが必要なので、定額保険料を払わずに、付加保険料だけ払うようなことはできない。また保険料の免除、納付猶予(学生納付特例)の人も納付できない。
付加年金額
付加年金額は、「200円×付加保険料納付月数」である。
例えば、20歳から60歳までの40年間、付加保険料を納めていた場合、
200円 × 480月(40年) = 96,000円
が老齢基礎年金にプラスしてもらえる。
申し込み先
市区役所及び町村役場の窓口
付加保険料の特徴
付加年金は気をつけなければならない特徴がある。それは老齢基礎年金と一緒に支払われるということである。
言い換えれば、老齢基礎年金がもらえなければ、支払われないということだ。
老齢基礎年金をもらえる前に死亡したら損
老齢基礎年金の支給開始年齢は原則65歳であるので、付加年金も原則65歳から支給される。
それまでに、死亡したら付加年金はもらえない。
尚、老齢基礎年金は60歳から減額された年金の繰上げ支給を請求することができ、その場合付加年金も減額された付加年金を受け取れるが、支給開始年齢を繰り上げると、一生減額された額を支給されることになる。
老齢基礎年金をもらう資格がない人はダメ
また、老齢基礎年金は保険料納付済期間と国民年金の保険料免除期間などを合算した受給資格期間が原則として10年以上ないと支給されないので、付加保険料を払っても将来付加年金をもらえないということがある。
平成29年8月1日から、受給資格期間が10年以上あれば老齢年金をもらえることになった。
今まで年金をあきらめていた人も、国民年金機構のホームページで確認をした方が良い。
老齢基礎年金の受給資格を将来満たすかは、毎年1回、日本年金機構から送付される「ねんきん定期便」の年金加入記録で確認することができる。またPCやスマートフォンを使用できれば、日本年金機構のねんきんネットからも確認できるサービスを利用するのがお勧めだ。
*尚、合算対象期間(カラ期間)も受給資格期間にカウントすることができ、これにより老齢年金をもらえる可能性がある。但し、カラ期間は年金制度に加入していた期間ではないので「ねんきん特別便」には原則として記載しないらしい。気になる方は。年金事務所に相談するのが良いと思う。
上記2点はデメリットかもしれないが、前者は老後生活費の付加年金であるためなので、不幸に早死にしたら老後とは関係ないし、後者は老齢基礎年金をもらう資格のない人は、そもそも付加年金保険料を払わなければ良いだけであるので、あまり気にしなくても良いと思う。
老後生活を豊かにするためには、付加年金はお勧め
将来老後生活を過ごしている日本社会がどうなっているのか?誰にもわからない。
よって、付加年金をもらっていても『焼け石に水』かもしれない。
しかし、そんなことを心配してもどうなるものでもない。今現在の状況から将来に向かって良いと思われることを準備しておく必要がある。
付加年金は付加保険料が月400円というのはリスクが少ない。
よって付加保険料を納付できる
・国民年金第1号被保険者
・任意加入被保険者(65歳以上の方を除く)
は、支払っていた方が得だ。
付加保険料の特例納付制度が平成28年4月から3年間(平成31年3月31日まで)に限り認められている。
これは納付期限までに納めることができなかった付加保険料を過去10年間までさかのぼって納めることができる制度だ。
付加保険料を納めることを途中で挫折した人も、もう一度検討してみる価値はあると思う。